1.9 “筋悪”を指摘されて委縮する

1. 将棋とは

アマチュア同士での対局であれば、どれだけ悪手を指しても負けるだけなのでカスリ傷みたいなもの。そもそもどれが悪手なのか自分も相手も分からなかったりして、感想戦でも最終局面だけになりがちです。

プロ棋士との指導対局あるいはアマ高段者との対局において、局後に指した手を「完全否定される」といった経験はないでしょうか?詰みを逃す、頓死するというような悪手であれば受け入れられるものの、序中盤で考えずに指す何気ない一手 – 級位者レベルでは大よそ気が付かない段階での悪手に対して、終局後に厳しく指摘される。「その手は筋が悪いですよ」と。
悪手というのは完全に形勢を損ねてしまう判断をしてしまうことですが、勝負に直結しない局面で棋理に適っていないような手を指すことを、一般的には”筋悪”と言います。と金がそっぽに行く、というような格言は筋悪を意味しています。実際に筋悪な手を指すと、その後から少しずつ形勢が悪くなっていきます。

将棋を覚えて直ぐには、何が筋が良くて、何が筋が悪いのかは分かりにくい。
悪手は初級者でも分かるレベルのものも多くある。駒をタダ取りされる、王手を放置するなど、序盤からでも注意すべき点は多くあるからだ。
筋の良し悪しというのは、ちょっと先のレベル感。模様を良くしたり、相手の駒組を制限したり崩したりする手であったり、その局面において決定打が無い時に無駄なく自分の手番を有効に使うための着手なので、級位者レベルでは会得しにくい。手渡しが最善手だったりすると、最早、理解不能だろう。

筋悪を指摘してくれるのは、とてもありがたいことなのです。将棋のセンスを磨いていくために必要な研磨剤なのですが、今度は筋悪を指摘されないようにばかり気にしてしまい、全く手が伸びなくなる、ということになってしまうことがあります。そして、また指摘されるのです。「こんな消極的な手は筋が悪いですよ」と。

私も未だにあります。「駒を取るためだけに金駒を投入するのは筋悪過ぎて怒られないだろうか?」と躊躇し、自分の棋風にない手を指して失敗してしまう。指導対局は特にそうかもしれません。憧れの先生の前で変な手を指すわけにはいかないと考えすぎてしまい、変な手を指してしまうとことは無いでしょうか?

私は第2回電王戦から将棋を始めた世代で、でも30代で、その当時の30代で将棋を指す人の多数はアマ三段ぐらいの棋力がある人たちな訳です。30歳を越して、当時マイナーな将棋を指しているということは、その人は子どもの頃から含めずっと将棋を指し続けている人なのです。そこそこ強いから続けているということなのです。だから先入観的に30代=アマ三段ぐらい、というのがプロ棋士にもあったと思うのです。
これが60才・70才であれば、老後に将棋を再開しました、昔は強かったんですけど今は楽しければいいです的な感じになると思うのです。20代であれば大学将棋あがり(マジで強い)か、マンガ・アニメの影響で初心者もいるかもしれないとなる。

山根ことみ
山根ことみ 女流初段に説教される筆者

30代というのは微妙なんです。何で初心者なの?となるのです。
でも実際には私の周りにも、おっさん級位者は多い。
おっさん級位者は指導対局でも手を抜かれない。おっさん級位者も棋力が上がらず悩んでいる。
そして、おっさん級位者は叱られやすい(笑)。
「筋が悪いですね!」と直接的に言われるのです。

子ども相手だと「こっちの手はどうだったかな?」なんて優しい声をかける女流棋士も、おっさん相手には容赦なくぶった切ります。そして、終いには叱られないと指導対局を受けた気がしないという変な体質になる人まで現れます。

将棋はいろいろな指し手があり、可能性が広いゲームです。
筋悪も個性だと思い、萎縮せずに将棋を楽しむという姿勢が大事ですね。

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