第77期A級順位戦 #大盤解説会 東京 将棋会館
第77期A級順位戦は、最終局となる9回戦が行われる。
名人への挑戦権を争う順位戦、A級の最終局は「将棋界の一番長い日」や「名人戦第0局」とも呼ばれている。
順位戦は C級2組 (C2) から始まり、C級1組(C1)、B級2組(B2)、B級1組(B1)を経て、A級のステージに昇ることができる。順位戦は1年をかけて行われるため、A級に辿り着くには丸4年を要する。
そして、A級で順位1位となると、ようやく名人戦タイトル戦に駒を進めることができる。
昨年は変則的に11名で行われたA級順位戦であるが、今期は10名で行われており、この9回戦が最終局となる。2名が B1 に降級し、1名が名人挑戦権を得る。勝敗が並んだ場合には、プレーオフが行われる。昨年は異例の6名によるプレーオフが行われた。
今期のA級順位戦最終局は、東京 将棋会館 (将棋連盟) ではなく静岡市 浮月楼 で開催され、施設内では大盤解説も行われる。
全ての対局の模様はネットで中継され、各地で大盤解説会が開催されるという大きな盛り上がりだ。
森内俊之九段、中村太地七段、阿部光瑠六段
関西将棋会館2階道場(大阪府大阪市福島区福島6-3-11)
山崎隆之八段、畠山鎮七段、菅井竜也七段、村田智穂女流二段
(*東京 将棋会館は、表記の際に “東京” と “将棋会館” の間を空けないとならないと北尾まどか先生から聞いた。豆知識。)
2019年3月1日(金)
東京 将棋会館での大盤解説会に参戦すべく、夕方に千駄ヶ谷へと向かう。
今回は最後の最後まで堪能したいので車で行きます。
千駄ヶ谷駅隣接の駐車場は最大2000円とお得です。
私が到着した16時半過ぎには、既に30名以上が列をなしている。予想はしていたものの驚きだ。その列は徐々に増え、2階から続く列は会館の外へと溢れ出す。100名近い客となり、18時開場の予定は少し繰り上げられ、17時40分に開場となる。私は前から3列目に座ることができた。
大盤解説会始まる
いつもは道場として営業している場所が大盤解説会の会場で、150席以上用意されているものの開始時には立ち見も多く発生している。すごい熱気だ。


(NHKのカメラが入っていました)
深浦九段は負けると B1 への降級が決まってしまう。勝った場合には三浦九段の結果を待つこととなる。糸谷八段は挑戦にも降級にも関わらないが、来期の順位を上げるために一つでも勝ち星を挙げておきたいところだ。
さて、局面のほうだが、後手玉が相当にしんどい事になっている。後手の時間も少ない。

早く終わってしまうとワクワク感が減ってしまいますね(笑)

えーと、それについてはノーコメントで・・

△4四銀が先手からの飛車切りを誘発するので疑問手と感じました
局後に阿部六段が敗着だと思った手を解説してくれました。
森内九段は終始笑顔で楽しそう、中村七段は冷静沈着、阿部六段は方言でほんわかしているものの闇コールが垣間見える、という個性的な3名が入れ替わりながら2名体制で解説会が進みます。
珍しく聞き手の女流棋士がいない大盤解説会のため、二人の棋士が互いの考えを示しながら解説していく関東ストロングスタイルです。
【7勝1敗】豊島(6)
【6勝2敗】羽生(1)、広瀬(3)
【5勝3敗】糸谷(9)
【4勝4敗】佐藤康(4)、久保(5)
【3勝5敗】稲葉(2)、三浦(8)
【2勝6敗】深浦(7)
【0勝8敗】阿久津(10)
勝てば自力で名人挑戦となる豊島二冠。昨期はプレーオフで敗れていることもあり、今期は気合が入っているだろう。
久保九段(直前に王将失冠)は、豊島二冠から見て因縁の相手かもしれない。ここまでの成績は豊島14勝、久保15勝と勝ち星一つの差しかないが、過去に数度、タイトル戦で跳ねのけられている。

攻めたらうるさい豊島二冠、緻密な攻めの設計はさすがです

豊島二冠の夕飯はカツカレーですか。勝ちたい気持ちの表れですね。
今回は自分が勝てば良く、他人の事を考える必要が無いので集中しやすいでしょうね。
本局は豊島二冠が細い攻めを繋ぎ切り勝利。
途中の解説では、パッと見は後手が余しているようにも見えると評されることがあったものの、久保九段に攻めのターンが廻ってくることはありませんでした。
稲葉優勢で進んでいた将棋。最後は三浦九段が大逆転勝ち。
途中、82手目△8三龍で と金 を払う「辛い手」が出た時の解説。

私が先手ならここで投げるかもしれないです
阿部六段が投げるかもと言うぐらいに差が広がっている模様。
ソフトの判断は先手から見て -500 ぐらいで続いていた将棋が、一つの悪手を境に傾いていきます。
一つのミスも許されないのが将棋。特にA級のレベルでは、それがミスなのかどうかすら分からないレベルの指し手が勝敗に直結することもあります。

途中、AbemaTV での出演を終えた 中村桃子 女流初段と 和田あき 女流初段が会場に顔を出します。
次の一手
そしてここで次の一手クイズが出題されます。
広瀬 – 羽生 の対局からの出題です。
「次の一手では、その他を選べ」というのが定跡ではあるのですが、それまでの手の流れから「6六飛」しか見えません。正解も6六飛でした。投票総数の発表はありませんでしたが、選択肢 A、B,その他 の中で、「その他」が一番多かったようです。
ありがたいことに森内九段に抽選で引いていただき色紙を頂くことができました。
時不可失、盤上のアルファ的にいうと「いてもうたれ」でしょうかね。
楽天市場 日本将棋連盟
豊島二冠が負けた場合、この対局の勝者が豊島二冠とのプレーオフを行う。他力ではあるがチャンスがある。負けられない。

羽生さんはいつも自然体。未だ意欲を失っていない。
必ずタイトル戦に戻ってくる。
戦友ともいえる羽生九段に東京からエールを送る森内九段です。

それでも中村七段は淀みなく解説を続けます。

「昔は将棋の指し手に感動して泣いたりもしましたが、もう若くないんで・・」という阿部六段。
プレゼントタイム
全ての対局の解説を終えて最後にひょっこりと髙見叡王が会場に来ます。


「私も欲しいんですけど」と阿部六段も参戦。
最後の最後に残っていた客は40人ぐらいだったと思いますが、途中は200名以上で多くの立ち見も発生するという状況でした。前より女性客が増えているのも喜ばしい兆候です。もっともっと幅広い人たちに将棋を楽しんでもらいたいですね。
名人戦
4月からは佐藤名人と豊島二冠の名人戦。楽しみです。
椿山荘には行きたいと思ってます。
他は女流王位戦(伊藤沙恵二段が出場なら優先)との兼ね合いかな。
山口県萩市に興味あり。
全てが終わり、外に出ると少し風が吹く寒空。空腹を覚え、おにぎりを食べ食べ車で横浜に帰宅。
さすがに疲れました。でも楽しかったし、勉強にもなった。
このブログでは書ききれていないこともあるのですが、投稿スピード優先ということでこの辺りで。昨日の今日というか、今日の今日なので、まだ疲れてますw
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