1.16 年齢とモチベーション (第77期順位戦を終えて)

1. 将棋とは

第77期順位戦が終了

第77期順位戦の対局がすべて終了し、名人挑戦者、各クラスの昇級者が決まった。
今期も最後まで多くの対局を楽しむことができました。
藤井聡太 七段の B2 への昇級は「頭ハネ」で阻まれ、順位戦の醍醐味を見ることもできました。
藤井ブームのおかげでテレビでも多く報道され、将棋に興味を持つ人も増えたと思います。

第77期順位戦の結果(挑戦者、昇級者)と年齢

名前タイトル
段位
年齢
豊島 将之二冠28挑戦
渡辺 明二冠34B1->A
木村 一基九段45B1->A
永瀬 拓矢七段26B2->B1
千田 翔太六段24B2->B1
近藤 誠也五段22C1->B2
杉本 昌隆八段50C1->B2
及川 拓馬六段31C2->C1
佐藤 和俊六段40C2->C1
石井 健太郎五段26C2->C1

(2019.3.7 のデータ)

ここで注目したいのは年齢です。
30代が2人、40代が2人、50代が1人と、若手強豪も多い中で中年が大活躍。
おっさんの私も歓喜なのです。

順位戦参加棋士の平均年齢

第77期順位戦参加の棋士は135名。その平均年齢は 39.1 歳です。(佐藤名人 31歳を除く)
なお、各クラスの平均年齢と参加人数は以下の通りです。

クラス平均年齢参加人数
A38.810
B140.813
B241.724
C142.339
C234.849
Total39.1135

あくまで平均であり、一番若い藤井七段(16歳)から最年長の桐山九段(71歳)まで幅広く分布している。とはいえ、全体感としては中年が多いということになる。

年を取っても結果を出す

人間は年齢を重ねると、一般論的には脳も衰えてくる。モチベーションも低下する。
企業の人事部では、社員は35歳あたりから仕事に対するモチベーションが低下すると認識していることが多い。もちろん全員がそうではないし、個人差もある。IT業界では「エンジニア35歳限界説」が沸き起こり、賛同したり、抗ったりと色々な意見が出た。モチベーションだけではなく、能力の限界、成長の鈍化あるいは低下も35歳ぐらいを境に顕著になる例も良く聞く。
人間ですから、疲労が蓄積すると歪みがでるし、永遠に身体が若いことはあり得ない。身体の不調は精神にも影響することもある。人間ですから理性だけで何もかもコントロールできる訳ではない。

将棋界の住人達は、この1,2年で少し様相が変わったとはいえ、未だに、あの特異世代の人がトップ集団および近辺にいる。第68回NHK将棋トーナメントのベスト4の顔触れは同窓会とも言われた。

生き馬の目を抜く勝負の世界において、ここ数年の将棋ソフト活用による新しい価値観の台頭により、古い世代は完全に駆逐されようとしている中で、若手に負けることなく結果を出す40代、50代の活躍には勇気づけられる。

昔は「おっさん頑張るね」ぐらいにしか思っていなかっただろうが、自分がその年齢になると裏での努力も含めて想像できるようになった。それは自分も衰えを感じながら生活をしているからである。記憶力、思考のスピード、変化への対応など、若いころ何とも思っていなかったことが、年を取ると簡単ではないことを実感する。

私は将棋のアマチュアプレイヤーなので、趣味として、そして「脳力」の限界への挑戦だとも考えて将棋を指している。意固地にならずに多くの戦型を試す(オールラウンダーを目指す)、局後に反省をする、将棋ソフトも活用する、負けを認める、など、なるべく柔軟な思考を保てるように工夫している。同じ戦法で経験値を積み上げた方が強くなるとは思うが、それよりも頭が凝り固まってしまう方が怖い。

木村九段のA級復帰は今年度の大きなニュースの一つ。
正直、40代からの大きな成長は無いと思う。プロの世界で、優秀な若手が毎年現れるという過酷な環境において、結果を出すために、どのような考え方を持ったのだろうか。闇雲に努力しても意味がないだろうから、何か「考え方の変化」があったと推測する。
かつて、故・米長永世棋聖は名人挑戦に向けて若手に教えを乞うたという。勝利という目的のため、プライドを捨てて新しい価値観を手に入れる。
現役のプロ棋士においては企業秘密だろうから、いずれ、遠い未来にでも聞いてみたい。
「あの時、あなたは何を変え、あなたを変えたのは何ですか」と。

次に化けるのは誰か

今年度、誰も予想しなかったは及川六段の快進撃だろう。
全勝での C2 抜け、勝率ランキングでの上位など「確変」した。
いろいろなインタビュー記事などで「次女が産まれたので」と言っていたが、それなら「長女の時は?」と思ってしまうから、それが本当の答えではないのは誰しも感じているところだろう。

40歳 佐藤和俊六段の昇級も感慨深い。

次の年度に誰が結果を出すのか、誰か予想して欲しい。若手以外で。
(私には全く分からず・・)

応援は気ままだ

誰かを応援するというのは気軽である。
自分が同じ努力をするわけではないし、結果責任も負わない。
それでも応援が役に立つのであれば応援したい。
と同時に、苦労の一片でも知ったほうがシンパシーを感じやすいと思う。

将棋は簡単に始められる。
観る専門の人で、特定の棋士を応援している人であれば、やはり将棋を指して欲しい。そして負けて悔しがり、その気持ちを体感して欲しいと思う。

私はスキージャンプが好きでテレビで観戦するが、同じ体験は到底できない。カーリングも良く観るが、負けて悔しいというレベルに到達することは無いだろう。囲碁は全く分からないが、全く分からないが故に負けても何も感じないだろう。連珠は少しやるが、負けるたびにセンス無いなーと思い、悔しいとまでは思わない。

将棋は、うまく指せないことも含めて、苦労を簡単に感じることができる競技である。

平凡な言い方だが、「いくつになっても挑戦する」しかない

意図的に新しい環境に身を置いたり、新しいことを始めたりしない限り、中年期における成長は無い。挑戦するには気力が必要。
先日の第4期叡王戦 PVラーメン川崎家を営む永瀬七段の父親が出演されていましたが、年をとっても挑戦し続ける姿を息子に見せているかのようで感心しました。挑戦し、努力し続ける姿を自分の子に見せられる親はどのぐらいいるだろうか。
将棋は遊びかもしれないが、ルールがあり、コツがあり、勝つための努力が必要。子どもが将棋を指すのであれば、親も指すべきでしょうと、私は思っています。

年を取ってから新しいことをするのは、割と億劫です。
ですが、その壁を越えなければ成長は無い。

まずは、「将棋を指す」ことから始めるのはいかがでしょうか?

 

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1. 将棋とは
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